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雑節(ざっせつ)とは意味や読み方、できた理由は?

雑節(ざっせつ)とは

雑節(ざっせつ)とは

雑節(ざっせつ)とは、日本の季節の移り変わりをわかりやすくする指標として作られたものです。

同じ季節の移り変わりを表すものとして二十四節気五節句がありますが、これらはもともと中国から日本に伝わったもので、日本の気候や季節感とは少しずれがあります。

雑節は日本で生まれた独自の季節の指標で、日本人の季節感や生活文化に合わせて作られました。特に、季節や気候に左右される農業に関連したものが多いです。

一般的に雑節といえば、以下のものがあります。

  • 節分
  • 彼岸
  • 社日
  • 八十八夜
  • 入梅
  • 半夏生
  • 土用
  • 二百十日
  • 二百二十日
二十四節気について、詳しくはこちら 二十四節気とは?知っておきたい読み方や意味 五節句について、詳しくはこちら 五節句とは?節句の意味や日付の由来、行事食もまとめて解説

主な雑節

立春の前日、2月3日頃 節分(せつぶん)

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節分は「季節を分ける」を意味していて、立春(2月4日頃)・立夏(5月5日頃)・立秋(8月7日頃)・立冬(11月7日頃)前日のことです。

立春・立夏・立秋・立冬は、それぞれの季節の始まりを表す二十四節気です。

本来は年に4回ありますが、旧暦では春が新年の始まりだったので、特に立春の前日の節分(2月3日頃)が重要視されていました。

今で言うなら、大晦日にあたる日です!

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昔は季節や年の分かれ目には邪気が生じると考えられていました。そのため節分には邪気を払う行事が行われます。豆まき柊鰯(ひいらぎいわし)で魔除けをし、その年の恵方を向いて恵方巻を食べる習慣があります。

詳しくはこちら 節分とは?豆まきや恵方巻についても解説

春・秋 彼岸(ひがん)

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春のお彼岸と秋のお彼岸があります。春分の日(3月21日頃)と秋分の日(9月23日頃)を中日にした前後3日間、合計7日間を彼岸と言います。お彼岸は、他の仏教の国にはない日本独自の行事です。

春分と秋分の日は、昼と夜の長さが同じになります。太陽が真東から昇り、真西に沈むこの日は、この世とあの世が通じやすくなると考え、先祖供養でお墓参りをする習慣が生まれました。

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるとおり、昔の人たちはお彼岸を季節や農作業の目安にしていたようです。

お彼岸のお供え物と言えば、ぼたもちおはぎですが、これは呼び方が違うだけで同じものを指しています。春のお彼岸は牡丹が咲く時期なので「ぼたもち」と呼び、秋のお彼岸は萩の花が咲く時期なので「おはぎ」と呼びます。

image 春分について、詳しくはこちら 春分の日(春のお彼岸)とは?春分の日の定義と春彼岸のしきたり

春・秋 社日(しゃにち)

春分の日と秋分の日に最も近い戊(つちのえ)の日社日(しゃにち)です。お彼岸が仏事である一方、社日は神事に関係する行事です。

日の干支の十干が戊の日のこと。

春と秋の2回あり、その土地の神様・産土神(うぶすなかみ)を祀る日とされています。

春の社日(春社)は種まきの時期なので、五穀の種を供えて豊作を祈願します。秋の社日(秋社)は収穫の時期にあたるため、初穂を供えてその年の収穫に感謝します。

社日はその土地の神様を祝うため、お祝いの方法はその土地によって様々です。土の神様を祀る日であるため、農作業など土を掘りおこす行いを避ける風習が多くみられます。

日の干支について、詳しくはこちら 日の干支とは?十干十二支、月の干支、年の干支もまとめて解説

5月2日頃 八十八夜(はちじゅうはちや)

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立春(2月4日頃)を1日目として88日目にあたる日のことです。

八十八夜の別れ霜と言われ、この頃から霜が降りなくなってきて、夏の気配が感じられるようになってきます。そのため、昔から八十八夜は農家の人々にとって夏の準備を始める目安でした。

八十八は「米」という字になり、農家では稲の種まきが始まり、茶摘みも行われます。八十八夜に摘んだお茶を飲むと病気にならないという言い伝えがあります。

八十八夜について、詳しくはこちら 八十八夜とは?お茶やコメだけでなく漁業とのかかわりも

6月11日頃 入梅(にゅうばい)

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昔は二十四節気の芒種(ぼうしゅ)を過ぎた後の最初の壬(みずのえ)の日と決められていましたが、現在は太陽黄経が80度に達した日とされています。

日の干支の十干が壬の日のこと。 太陽の通り道=黄道を360度に等分し、春分点を座標ゼロとして計算した数字

この日が暦の上では梅雨入りですが、実際は気象庁の梅雨入り発表の方が重要視されています。

農作業をするうえで梅雨の時期を知ることは重要です。しかし昔は今ほど気象観測技術が発達していなかったため、目安として暦の上での梅雨入りを用意したと考えられています。

梅雨(ばいう)の言葉は中国から伝わり、ちょうど梅の実が熟す頃の雨季なので「梅雨」という字があてられました。「つゆ」と読むようになったのは江戸時代で、「露(つゆ)」から派生したという説や、「熟した梅の実が潰れる=潰ゆ」になったという説があります。

入梅について、詳しくはこちら 入梅とは?成り立ちや語源から「入梅いわし」まで

7月2日頃 半夏生(はんげしょう)

昔は夏至(6月21日頃)から数えて11日目でしたが、現在は太陽黄経が100度に達した日とされています。

半夏生を過ぎて田植えをすると収穫が減るといわれ、農家さんはこの日までに田植えをすませ、半夏生を過ぎたら田植えをしないという習慣があります。

ちょうど半夏(はんげ/別名:カラスビシャク)という薬草が生える時期で、この植物にちなんで名前がつけられました。

半夏生の頃には天から毒が降るとされ、毒気を防ぐため井戸に蓋をして、この時期に採った農作物は食べてはならないとされていました。他にも地域によって、ハンゲという妖怪が出る、竹林やネギ畑に入ってはいけないなど、様々な風習があります。

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関西ではこの日にタコを食べる習慣があり、植えた稲がタコの足のように地面にしっかり根付くように、という意味があります。

これらの風習は、「田植えをした後の体をしっかり休めよう」という昔の人の知恵だと考えられています。

半夏生について、詳しくはこちら 半夏生とは?禁忌と風習・なぜタコを食べるのか

土用(どよう)

立春(2月4日頃)・立夏(5月5日頃)・立秋(8月7日頃)・立冬(11月7日頃)の前の18日間のことを土用と言います。

土用は、中国の陰陽五行説に関係する雑節です。万物の源「木・火・土・金・水」を四季に当てはめたとき「春=木、夏=火、秋=金、冬=水」となるのですが、「土」が余ってしまいます。

そこで「土は、各季節の終わりにある」と決めて、季節の変わり目の立春・立夏・立秋・立冬の前に「土用」が置かれることになりました。

土用の期間中は、土の気が強まるとされ、土を掘り返すような作業は避けるべきと言われています。

土用は本来年に4回ありますが、現在では夏の土用を指すことがほとんどです。

暑さに負けないように鰻を食べる「土用の丑の日」は、夏の土用の期間中にくる、日の干支が「丑(うし)」になる日のことです。

image ※日の干支について、詳しくはこちら 日の干支とは?十干十二支、月の干支、年の干支もまとめて解説 土用の丑の日とは?由来や風習について解説

9月1日頃 二百十日(にひゃくとおか)

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立春(2月4日頃)を1日目と数えて、210日目が二百十日です。

この頃は稲穂が徐々に黄金色に色づき始める、収穫前の大切な時期です。しかし、二百十日は台風が起こりやすい日とされていて、農作物が風雨の被害を受ける可能性がある厄日と言われています。そのため各地で風鎮めのお祭りや儀式が行われます。

今のように台風の予測ができなかった時代に、昔の漁師さんたちが長年の経験から凶日とした日です。

9月11日頃 二百二十日(にひゃくはつか)

立春を1日目と数えて、220日目が二百二十日です。前述の二百十日と同じ雑節で、農家さんが恐れる厄日の一つです。

これらの雑節が書かれているカレンダーも多いです。

ぜひみなさんのカレンダーをチェックしてみてくださいね!

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きじまろくん
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