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二十四節気とは?知っておきたい読み方や意味

二十四節気の図

二十四節気とは

太陽の位置をもとに1年365日を春夏秋冬の4つに分けて、さらに各季節内を6つに分割します。その分割点に季節を表す名称を付けたものが「二十四節気(にじゅうしせっき)」です。

二十四節気は、季節の移り変わりを表す目印であり、現在の暦(新暦/グレゴリオ暦)に変わる前の旧暦(天保暦)では、月名を決める際に重要な役割を担っていました(後述)。

二十四節気には、季節を決める「節気」と月名を決める「中気」が交互に割り振られています。

  • 節気:季節を決める指標
  • 中気:月名を決める指標(後述)
節気 立春 啓蟄 清明 立夏 芒種 小暑 立秋 白露 寒露 立冬 大雪 小寒
中気 雨水 春分 穀雨 小満 夏至 大暑 処暑 秋分 霜降 小雪 冬至 大寒

二十四節気は、毎年同じ日付ではなく、その年によって1日程度前後することがあります。

なぜ二十四節気があるの?

4月には桜が咲いて、6月は梅雨、10月にはお米の収穫……。今では当たり前のように暦と季節が一致してわかりやすくなっていますが、はるか昔は違いました。

二十四節気が考案されたのは古代中国です。まだ二十四節気が生まれる前、当時古代中国で使っていた暦は、季節と暦に多少のズレが生じてしまうため、1月、2月などの月名は季節の目安にしにくいものでした(年によっては暦と季節が1ヵ月ズレることも)。

そこで、暦とは別に春夏秋冬を表す季節の指標として「二十四節気」が考案され、これを実際の季節の目安としました。

さらにその後、二十四節気のうち中気をもとに月名を決めれば月名と季節のズレを防げることがわかり、二十四節気は古代中国において暦の作成に不可欠なものになりました。こうして中国で生まれた暦は日本に伝わり、明治時代まで使われていました。

現在の新暦(太陽暦)は季節とのズレがないため、暦作成に二十四節気は不要になりました。しかし今でも二十四節気は、小さな季節の移り変わりを感じるための指標として使われています。

季節の指標って必要?と思う方もいるかもしれませんが、気候の変化に左右される農業や漁業では重要。田植えや種まき、収穫時期などの判断に不可欠です。

顔

二十四節気と日本人の季節感のズレ

前項でも述べた通り、二十四節気は古代中国で考案されました。二十四節気は、当時文化の中心地であった黄河の中流域(現在の華北地方)の気候をもとに名付けられています。そのため、日本で体感する季節感とは若干のズレがあります。

例えば、立春を過ぎると「暦の上ではもう春です」と言われますが、日本ではまだ2月の初めで寒さのピーク、春はもう少し先です。

そのため、日本では二十四節気に加えて、日本特有の季節の移り変わりの目安となる「雑節(ざっせつ)」というものが作られました。

雑節について、詳しくはこちら 雑節とは?意味や読み方、できた理由は?

二十四節気ができるまで

今私たちが使っている二十四節気は中国の春秋戦国時代(紀元前770年~前221年)に確立されましたが、そのずっと前から段階的に整えられてきました。

はるか昔の中国殷(いん)の時代(紀元前17世紀~前1046年)に、立てた棒とその影から、1年で一番日が短くなる「冬至」と、一番日が長くなる「夏至」が決められました。

冬と夏の目印が決まったので、その間の春と秋の季節を示す目印は、冬至と夏至のちょうど間を分割して「春分」「秋分」(昼と夜の長さが同じ)としました。冬至・夏至・春分・秋分を合わせて「二至二分(にしにぶん)」と呼びます。

では「冬至」と「春分」、冬と春の境目はどのように決めましょう。ここで「立春・立夏・立秋・立冬」の「四立(しりゅう)」が、二至二分の間に置かれました。立春を過ぎると「暦の上では春」と言われる通り、四立は季節の変わり目を表しています。

二至二分と四立は合わせて「八節(はっせつ)」と呼ばれ、ここまでで一年を8つに分割することができました。しかし、一節の長さは約45日で、季節の移り変わりの目安とするにはまだ大雑把です。さらに1年12か月というサイクルにも対応できるよう、一節をさらに3分割することにしました。

結果、1年12か月の間に24個の季節の目印が置かれるようになり、こうして出来上がったのが「二十四節気」です。24という数字は、1年12か月のサイクルと相性の良い数字で、各月に2つの二十四節気が置かれます。

二十四節気は太陰太陽暦で重要

そもそも二十四節気は、前項の「なんで二十四節気があるの?」で紹介した通り、それまで中国で使われていた暦では季節とズレが生じるため、暦とは別で季節を表す目印として作られたものです。

しかし、中国戦国時代に二十四節気が完成すると、これをもとに「太陰太陽暦」という新たな暦が作られます(これが、後に日本に伝わり明治まで使われていた旧暦です)。

太陰太陽暦では、二十四節気のうち12ある中気を、月名を決める指標としました。例えば以下の表をもとに、雨水が入るのは1月、春分が入るのが2月(現在は3月)といったかんじです。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
節気 立春 啓蟄 清明 立夏 芒種 小暑 立秋 白露 寒露 立冬 大雪 小寒
中気 雨水 春分 穀雨 小満 夏至 大暑 処暑 秋分 霜降 小雪 冬至 大寒
上の表の月名は旧暦のものです。旧暦と新暦は約1ヵ月ほどズレているため、新暦(現在)では例えば冬至は12月、大寒は1月にあたります。

二十四節気一覧

2月4日頃立春(りっしゅん)
暦の上では春の始まりで、旧暦ではこの日が1年の始まりでもありました。立春を過ぎてから春分までの間に、初めて吹く強い南風のことを「春一番」と呼びます。寒中見舞いは立春の前日までに出します。
2月19日頃雨水(うすい)
雪が雨に変わり、積もった雪や氷が解けて水になる、という意味があります。
3月6日頃啓蟄(けいちつ)
土の中が温かくなってきて、冬ごもりをしていた虫たちが顔を出す頃です。春を待っていた生き物たちが動き始めます。たけのこやわらびが旬になる時期です。
3月21日頃春分(しゅんぶん)
昼と夜の時間がほぼ同じになり、この日を境に昼の時間が長くなっていきます。春分を挟んだ前後3日間、合計7日間を「お彼岸」と呼んでお墓参りをする習慣があります。春は牡丹の花が咲くことから、春のお彼岸のお供え物はぼたもちです。
4月5日頃清明(せいめい)
春先の澄んだ空気とあたたかい陽の光で、空も大地も清々しく明るい季節です。桜が咲くお花見シーズンでもあります。
4月20日頃穀雨(こくう)
春の雨が農作物を潤す、という意味があります。この時期に農作物の種まきをすると、雨に恵まれてよく育つと言われています。
5月6日頃立夏(りっか)
暦の上では夏が始まります。新緑の季節になり、さわやかな気候が続く、1年で一番過ごしやすい季節です。ちょうどGWのレジャーシーズンに当たります。
5月21日頃小満(しょうまん)
草木が生い茂り、動物や植物の活気が満ちてくる頃です。秋に植えた麦の穂が育ち、農家さんは田植えの準備を始めます。
6月6日頃芒種(ぼうしゅ)
稲や麦など穂の出る作物の種をまく時期です。稲の穂先の針状の突起を芒(のぎ)と言います。次第に雨空が増えてくる頃です。
6月21日頃夏至(げし)
1年で一番昼が長く、夜が短い日です。この日を境に、徐々に日が短くなっていきます。暦の上では夏の真ん中ですが、暑さのピークはもっと先で、実際には梅雨の時期です。
7月7日頃小暑(しょうしょ)
徐々に暑さが増していきます。梅雨明けが近づき、少しずつ夏の気配が感じられる季節です。小暑と大暑の1ヵ月を「暑中」といい、暑中見舞いを出す期間とされています。
7月23日頃大暑(たいしょ)
1年で一番暑さが厳しくなる、という意味がありますが、実際の暑さのピークはもう少し先です。打ち水のイベントや花火大会が各地で開催され、土用の丑の日があるのもこの頃です。
8月7日頃立秋(りっしゅう)
暦の上では秋の始まり、この日から「暑中見舞い」が「残暑見舞い」に変わります。実際にはこの頃に暑さのピークを迎えますが、お盆が明ける頃には少しずつ秋の気配が感じられるようになってきます。
8月23日頃処暑(しょしょ)
暑さが峠を越え、少しずつ和らいでくる頃です。穀物が実り始める頃ですが、台風シーズンでもあります。
9月8日頃白露(はくろ)
草木に白い粒のような朝露が降りる頃です。日中はまだ暑いですが朝晩は涼しくなり、空が高くなって秋の気配を感じられるようになります。
9月22日頃秋分(しゅうぶん)
昼と夜の長さがほぼ同じになり、この日を境に夜の時間が長くなっていきます。秋分を挟んだ前後3日間、合計7日間を「お彼岸」と呼んでお墓参りをする習慣があります。秋は萩の花が咲くことから、秋のお彼岸のお供え物はおはぎです。
10月8日頃寒露(かんろ)
草木の露が寒さで凍ろうとする時期です。朝晩が肌寒い日が増えてきますが、空気が澄んで過ごしやすい秋晴れの日が多く、夜空を見上げると美しい月を見ることができます。
10月23日頃霜降(そうこう)
朝晩の冷え込みが増して、初霜の知らせが届く頃です。秋が深まり、山では紅葉が真っ盛りです。
11月7日頃立冬(りっとう)
暦の上では冬の始まりです。木枯らしが吹いて木の葉が落ち始め、寒い地方では初雪の知らせが届きます。昼間の日差しも弱まってきて、冬の訪れを感じさせます。
11月22日頃小雪(しょうせつ)
寒い地方から初雪の知らせが届く頃ですが、まだ積もるほどは降らないので「小雪」といわれるようです。本格的な冬を迎える前に、冬支度を整える時期です。
12月7日頃大雪(たいせつ)
本格的な冬が到来し、雪が積もりはじめます。スキー場やスケート場が開き始める時期です。冬眠をする動物たちは冬ごもりの準備を始めます。
12月22日頃冬至(とうじ)
1年で一番昼が短く、夜が長くなる日です。この日を境に、徐々に日が長くなっていきます。冬を乗り切るために栄養のあるかぼちゃを食べ、ゆず湯に入る習慣があります。
1月5日頃小寒(しょうかん)
「寒の入り」と言われ、より一層寒さが厳しくなります。小寒と大寒を合わせた1ヵ月を「寒中」「寒の内」と言い、寒中見舞いを出す時期です。
1月20日頃大寒(だいかん)
1年で一番寒さが厳しくなります。ただ、「三寒四温」という言葉がある通り、寒い中でも少しずつ春の気配を感じられるようになってきます。「寒仕込み」といって、味噌や醤油、酒を仕込む時期でもあります。
きじまろくん
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