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夏至とは?気候やイベントについて解説

夏至の頃の紫陽花

夏至(げし)とは

夏至(げし)は1年のうちで最も昼が長く、夜が短くなる日です(北半球において)。太陽が黄経90度に達した日が夏至と定められており、旧暦では5月18日前後、現在の新暦では6月21日前後にあたります。2024年の夏至も、6月21日です。

黄経・・・天球上の太陽の通り道である「黄道」の経度。二十四節気においては、春分の0度を起点に黄経を24分割し、15度ごとに節気を定めている。

夏至は二十四節気の中のひとつです。1年365日を24の季節に分けた暦が、二十四節気。夏至はこの二十四節気の10番目の季節にあたります。「季節」という言葉からもわかる通り、本来夏至は1日だけで終わりというわけではなく、期間があります。夏至の期間はその年によって若干の差があるものの、概ね6月21日頃から7月6日頃まで。一般的に「夏至」と呼ばれているのは、夏至の期間の始まりの日です。

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夏至の頃の日本の気候

暦上の夏至は夏の季節の中間にあたり、「夏の暑さがいよいよ本格的になってきますよ」という気候の移り変わりの目安となる日です。日中の時間が最も短くなる冬至の日と比べて、およそ4時間50分も太陽の光を長く楽しめる日でもあります。

しかし現在の日本で夏至の時期といえば、夏の爽やかなイメージとは真逆で梅雨の真っ只中。ダラダラと降る雨や、どんよりとした曇りの日が多くみられ、日照時間が冬以下というケースも少なくありません。

ムシムシ・ジメジメとした日が続き、食べ物が傷みやすくなる夏至の頃は、冷蔵庫が大活躍する時期でもあります。そのため日本電機工業会(JEMA)は、夏至の日にあたることの多い6月21日を「冷蔵庫の日」と定めました。「夏本番がやってくる前に、冷蔵庫の点検を」とも呼び掛けています。

6月21日の記念日はこちら 6月21日は何の日?

夏至と農作業との関係

地域によって、夏至は農作業の大切な節目の日でもありました。

例えば、長野県の農家では、「チュウまでに田植えを済ませなければいけない」といわれていました。「チュウ」とは夏至の俗称で、「夏のど真ん中」を意味します。このチュウの日までに田植えが終わらないと、1日につき、稲穂1本あたりの米がひと粒ずつ減っていってしまうと伝わっているのです。そのため農家の人々は、夏至の日までには田植えをすっかり終わらせて、夏至当日はゆっくりと休んだのだとか。

熊本県では

熊本県阿蘇地方の農家には、「チュウはずらせ、半夏は待つな」という言葉が残っています。

これは、「田植えをするなら夏至以降、半夏生(7月2日前後)前がよい」という意味です。

半夏生について、詳しくはこちら 半夏生とは?禁忌と風習・なぜタコを食べるのか

夏至の日のイベント

二見浦の「夏至祭」

三重県の二見浦(ふたみがうら)では、夏至の前後2週間だけ貴重な光景が見られます。それは、二見浦に立つ夫婦岩の間から、神々しい朝日が昇る光景です。

古来より、「太陽の力が最も強力になる日は夏至である」と考えられてきました。二見浦でも毎年夏至の日には「夏至祭」が執り行われ、強いパワーを持つと信じられる朝日を浴びながら、人々が海水に浸かり身を清めます。

世界に広がるキャンドルナイト

2001年(平成13年)以降、夏至と冬至の日の夜に電気の明かりを消してロウソクの光で過ごす「キャンドルナイトが、世界中で広がりをみせています。カナダ発祥のキャンドルナイトが日本で初めて紹介されたのは2002年(平成14年)のこと。翌2003年(平成15年)には「100万人のキャンドルナイト」というイベントが開催され、以降国内で徐々に定着しつつあります。

夏至の日の20時から22時までロウソクを灯しながら、節電やエネルギー問題、地球環境の問題などに、じっくりと思いを馳せてみるのもいいですね。

キャンドルナイトに夏至と冬至の日が選ばれたのは、国ごとに異なる記念日とは違い、世界中のどこの国にも等しくやってくる日だからなのだとか!

顔

関西ではタコを食べる?

夏至の日から半夏生の11日間の間、関西地方ではタコ(蛸)を食べるというユニークな風習があります。

夏至の期間は田植えも終わり、稲の健やかな成長と豊作を願う時期に入ります。そこで、足が何本もあるタコにあやかり、「稲の根がタコの足のように立派に、たくさん張り巡らされますように」という願いを込めてタコを食べるのです。

一方、二十四節気の生まれた中国では、夏至の日になると健康や厄払いを願い、麺類やちまき(粽)を食べる慣習が残っています。

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