読みもの

お歳暮とは?発祥や贈り方、贈る品について

お歳暮の熨斗が貼られた贈り物の箱

お歳暮(おせいぼ)とは?

お歳暮(おせいぼ)とは、お世話になった人たちに「今年1年、ありがとうございました」という感謝の心を込めて贈り物をする風習です。贈る相手としては、両親や親戚、仕事上でお世話になった方や上司、仲人、稽古ごとの師匠(先生)などが一般的です。

お歳暮の正式名称は「歳暮の礼(せいぼのれい)」。「歳暮」とは、年の暮れ・年末を意味します。「年末」という名の通り、お歳暮は年の暮れに贈るのがしきたりです。現在では、12月上旬から12月25日頃までに先方に届くように贈るのがマナーとされています。ただし「家族や親戚が揃う年末に食べてください」という気持ちで生鮮食品を贈る場合には、敢えて日付をずらして12月30日前後に贈るケースもあります。

昔のお歳暮は、正月の準備を始める「正月事始め」の日である12月13日から12月20日頃までに贈るのがしきたりでした。

顔
正月事始めについて、詳しくはこちら 【12月13日は正月事始め】煤払い・松迎えとは?

もしも年内にお歳暮を贈り損ねてしまった場合には、「お年賀」として1月7日までに届くようにしましょう。それ以降になってしまう場合、また、相手先が喪中の場合には「お年賀」とは書かずに「寒中見舞い」として2月7日頃までに贈ります。

お歳暮の贈り方

風呂敷に包まれた贈り物

古来よりお歳暮は、風呂敷に丁寧に包んだ品物を相手の自宅へ直接持って行き、感謝の言葉と一緒に手渡していました。宅配便が便利になった現在では、品物を持参する人は少数派。多くの人はお歳暮の品を宅配便で送っています。

しかし、ただ品物を宅配便で送るだけでは味気ないもの。せっかく込めた感謝の気持ちも伝わりにくいかもしれません。なるべくであれば、1年間のお礼の気持ちをしたためた挨拶状を別に送付したいものです。

お歳暮を贈られる側になった場合には、できるだけ早めにお礼状を郵送するようにしましょう。

顔

お歳暮の発祥と贈る品

熨斗を巻かれた魚のイラスト

お歳暮の始まりは、お正月に先祖を祀る「御霊祭り(みたままつり)」に合わせて、分家が本家にお供え物を贈るしきたりだといわれています。そのため昔のお歳暮の品は、鮭やブリ(鰤)、数の子、するめ、米、餅など、お供えに使われる食べ物が中心でした。

特に、関東地方では保存がきく塩鮭、関西地方では塩ブリが人気の贈り物だったといいます。日本には、お正月に年神様を迎えるにあたって、大晦日(おおみそか)に家族で「年取膳(としとりぜん)」をいただくという風習がありました。年取り膳は、白米や餅、野菜に「年取り魚(としとりざかな)」と呼ばれる魚を取り合わせた豪華な食事のこと。塩鮭や塩ブリは、この年取り魚として重宝されたのです。大晦日のご馳走に欠かせない年取り魚を贈ることで、親や親戚に実際には会えなくても、共に年神様を歓迎するという意味合いが込められていたのでしょう。

大晦日について、詳しくはこちら 12月31日の大晦日とは?しきたりについて詳しく解説

このように、昔からお歳暮の品物といえば食べ物というのが主流であり、その流れは現在でも受け継がれています。しかしその種類は多様化しており、ハムやソーセージ、植物油、出汁(だし)、スパイス類、スイーツ、コーヒーにお酒、なかなか手に入らない地域の特産品などなど、相手の好みや家族構成に合わせて選ばれるようになりました。

食べ物以外にも、洗剤やタオル、食器類、花なども、お歳暮の品として人気があります。贈られた相手が好みの物を選べるカタログギフトを利用する人も増えてきました。

注意

お歳暮として商品券やギフト券を贈ることは、特に目上の方に対しては失礼にあたるので注意が必要です。どうしても贈りたい場合には、先方の希望を確かめてからにした方がよいでしょう。

お世話になった人へ贈り物をする風習は年に2回。12月のお歳暮の他、7~8月にかけてのお中元があります。

お中元について、詳しくはこちら お中元とは?期間や起源、人気の贈り物を解説
この記事をシェアする