読みもの

お中元とは?期間や起源、人気の贈り物を解説

お中元ギフトを見せるきじまろ君

お中元とは

お中元とは、両親や親戚、仲人、仕事上の上司や取引先など、日頃からお世話になっている人々へ感謝を込めて贈り物をする風習です。「御中元」の言葉と自分の氏名を書いた「のし紙」を品物にかけて、持参して手渡すか郵送します。

お中元のタオル

お中元の期間は地域によってさまざま

地域 お中元の時期
北海道・東海・関西・中国・四国 7月15日~8月15日まで
北陸 7月1日~7月15日まで(地域により異なる)
東北・関東 7月1日~7月15日まで
九州 8月1日~15日まで
沖縄県 旧暦のお盆期間中(2022年は8月10日~12日)

お中元を贈る時期は、7月1日から15日頃というのが一般的です。ただし、上の表からも分かる通り、地域によって違いがみられます。

特に、沖縄県におけるお中元の時期には要注意。沖縄県ではお中元は、毎年「旧暦のお盆期間内」に贈らなければならないとされています。お盆の時期は旧暦の7月15日前後であるため、新暦にあてはめると毎年8月10日から12日頃となります。

お中元を贈る時期を逃してしまったら…

お中元を贈る時期を逃してしまっても、感謝の気持ちを伝えることはできます。しかし、その場合「お中元」という言葉は使えません。

お中元の時期が7月15日までの地域を例にとると、7月15日を過ぎてから贈り物をする場合には「暑中見舞い」として、立秋(8月7日頃)を過ぎてからの場合には「残暑見舞い」として贈るのがマナーです。

いつから暑中見舞いや残暑見舞いに切り替えるかは、地域のお中元の時期によっても違うため、贈りたい相手の居住地をしっかり確認するようにしましょう。

お中元の起源

上で述べた通り、お中元を贈り合う期間は現在、地域によって7月1日から8月15日頃までとバラバラです。しかし本来の「中元」とは、旧暦の7月15日のことを指しました。これは、お中元という習慣が、中国の道教に由来するためです。

旧暦の7月15日・・・新暦にあてはめると、毎年8月10日~12日頃が該当します。 道教・・・2世紀頃の中国で生まれた、複数の神々を信仰する宗教。老子を祖とする。道教の思想は、日本人の信仰や物の考え方、文化などにも影響を与えたといわれている。

中国発祥の道教の考え方では、1月15日を「上元(じょうげん)」、7月15日を「中元(ちゅうげん)」、10月15日を「下元(かげん)」と呼び、1年の大きな区切りの日としていました。これら「三元」と呼ばれる日付はそれぞれ、天官大帝地官大帝水官大帝という道教の3体の神様の誕生日でありました。そのため人々は神様にお供えし、お祭りを催して盛大に祝ったのです。

三元大帝の絵

三元大帝と官吏(北京 白雲寺)

三元の真ん中にあたる中元(7月15日)は、「人の罪を許す神様」として知られる地官大帝が生まれた日。人々は中元の日がくると、親戚や近所に積極的に贈り物をして自らの穢れを祓おうとしたといいます。

三元の日(三元節とも呼ばれます)には、家族や親戚が顔をそろえて先祖に思いを馳せ、1年の区切りの日まで健康に過ごせたことを神に感謝したとも伝わっています。

顔

こうした三元の考え方が日本へ伝わり、定着したのは江戸時代に入ってから。とはいっても、定着したのは三元のうち、7月15日の中元のみでした。日本で旧暦の7月15日といえば、お盆の日です。もともとお盆には、先祖へのお供えに加えて、親や目上の人に贈り物をする「生見玉(いきみたま)」という風習がありました。これが中元の贈り物の風習と交ざり合い、日本の「お中元」という行事が生まれたというわけです。

生見玉(いきみたま)・・・お盆の時期に、存命中の親や目上の親戚などへ感謝の気持ちを伝えるために贈り物をしたり、食事を用意したりする日本古来の風習。「生身魂」とも書く。
贈り物の風習

お盆の風習が合わさっていることから、もともとは先祖供養の意味合いが強かったお中元。

現在のように「お世話になった人へ贈り物をする」という風習が広まったのは明治時代以降です。

生見玉やお盆について、詳しくはこちら お盆とは?

お中元には何を贈る?

お中元のそうめん

昔のお中元の進物(贈り物)といえば、そうめん(素麺)や白米、小麦粉、季節のフルーツ、お菓子などの食料品が一般的でした。中国の中元と日本のお盆が結びついたお中元の進物には、「先祖への贈り物」という意味合いも込められていたため、仏前へ供えられるものが重宝されたのでしょう。

また、家族を亡くしたばかりで、初めてのお盆を迎えるという家庭へのお中元には、提灯やお線香が選ばれました。

贈り物の風習

お中元に人気のそうめんの発祥は、奈良県大神神社(おおみわじんじゃ)。飢えに苦しむ人々を救うため、奈良時代の頃にはもうそうめんが作られていたといいます。

人々はこの神聖なそうめんに「細く長いお付き合いをお願いします」という願いを込めて贈り物にしたのです。

地域によって、贈り物の内容に違いがみられるのも興味深い点です。関東の農村部では、食べ物ならばお蕎麦やそうめん、その他、履物や衣類などが人気で、商店にいたっては、手ぬぐいや団扇(うちわ)を配ったと伝わっています。

現在ではお中元の種類も多様化しています。食品類にはお酒が加わり、産地直送の品々も人気です。また、贈られた側が好みの品物を選べるカタログギフトにもさまざまな種類が用意されており、中には家電やホテルの宿泊券などがもらえる豪華なものまであります。

この記事をシェアする