旧正月(きゅうしょうがつ)とは
旧正月(きゅうしょうがつ)とは、旧暦の1月1日を中心としたお正月期間を指します。日本では過去「旧暦(きゅうれき)」と呼ばれる太陰太陽暦(たいいんたいようれき)が使用されていました。現在使用されている新暦(グレゴリオ暦)に変わったのは明治6年のことです。この前年まで使われていた旧暦の日付に基づくお正月を「旧正月」と呼び、現在の新暦に基づくお正月と区別しているというわけです。
旧正月は旧暦の日付に基づいた行事であるため、新暦のお正月の日付とはズレが生じます。旧正月の日付は毎年変わりますが、おおむね新暦の1月下旬から2月中旬の間におさまります。例えば、2025年の旧正月は1月29日から、2026年は2月17日から始まります。
旧暦では1月から3月が春の季節にあたり、お正月といえば春の行事でした。
現在の年賀状でもよく見かける「迎春」や「初春」などの言葉に、その名残を感じます。
日本における旧正月
新暦に基づくお正月が一般化している現在の日本では、旧正月を華々しく祝う習慣はあまり見られません。しかし、そんな日本の中でも、旧正月が盛んに祝われている地域が沖縄県です。
地域にもよりますが、沖縄県では現在でも、新暦のお正月と旧正月の両方を祝う文化が根強く残っています。これは、沖縄の人々が伝統的に、農業や漁業のサイクルと強く結び付いた旧暦を大切にしてきたからです。
沖縄では旧正月が近付くと、各家庭の仏壇にはお供え物が並べられます。旧正月になると、家族の健康を神様に祈願し、「ラフテー」などの豚肉料理を食べて新年を祝うのです。
旧正月を祝う習慣の残る沖縄県では、旧正月のことを「旧正(きゅうしょう)」新暦のお正月のことを「新正(しんしょう)」と呼んで区別しています。
また、街がおよそ15,000個のランタンで彩られる「長崎ランタンフェスティバル」(長崎県長崎市)も、中国の旧正月(春節)(3.旧正月(春節)を盛大に祝う中国を参照)のお祝いが発祥のお祭りです。もともとは、長崎に住む中国出身の人々が旧正月を祝う「春節祭」という催しでした。長崎ランタンフェスティバルは現在でも旧暦のお正月の時期に開催されており、毎年多くの観光客で賑わいます。
旧正月(春節)を盛大に祝う中国
新暦のお正月以上に旧正月を盛大に祝う国が中国です。旧正月のことを英語では「Chinese new year」と呼ぶほどに、中国で「お正月」といえば旧正月が一般的なのです。中国でも1911年に新暦に改暦していますから、新暦におけるお正月も祝われています。しかし、沖縄県と同じように旧暦が生活に深く根付いている中国では、旧暦に基づいた行事が大切にされているのです。
中国では旧暦のお正月のことを「旧正月」とは呼びません。「旧正月」という表現は日本独自のものであり、中国では「春節(しゅんせつ)」と呼ばれています。
中国の人々は、春節の前日になると先祖のお墓参りにでかけます。午前中の明るいうちにお墓参りにでかけ、先祖の霊を自宅へと連れ帰り、一緒に新年を迎えるのです。また、年越しの際には「長寿麺(長麺)」と呼ばれるうどんやソーメンのような食事をとり、長寿を願います。日本の年越しそばのような文化です。
年越しそばについて、詳しくはこちら 12月31日の大晦日とは?春節を迎えると、中国の街中ではいたるところで爆竹や花火の音が鳴り響きます。さらに各家庭の玄関には、新たな年の訪れを祝い幸せを祈る「春聯(しゅんれん)」や「年画(ねんが)」が飾られます。
春聯(しゅんれん)・・・「吉祥如意(万事うまくいきますように)」「迎喜迎春迎富貴(ようこそ、春と富)」などの願い事をしたためた紙。魔を退けてくれると信じられている赤色が基調となっている。 年画(ねんが)・・・中国における縁起物である鯉や桃、人々の理想とする生活像、神様、昔話、風景などが描かれた版画。新年の幸福や豊作を願う心が込められている。中国で盛大に春節が祝われるのと同様に、日本の横浜中華街(神奈川県横浜市)や南京町(兵庫県神戸市)といった中国ゆかりの地も、春節のイベントで盛り上がります。