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月齢とは?月齢の数え方や作られた背景についても解説

月の見え方

月齢(げつれい)とは

月の見え方

月齢(げつれい)とは、月の満ち欠けの状態を表す数値です。月齢は、地球から月が全く見えない「新月(しんげつ)」(「(さく)」とも呼ばれます)を0として、新月の翌日の月を1、その次の日の月を2……という具合に数えていきます。新月から数えて3日目の月、すなわち「月齢3」の月は「三日月(みかづき)」、新月から15日目前後の「月齢15」の月は「満月(まんげつ)」や「(ぼう)」と呼ばれます。

新月から始まった月齢は、新月→三日月→上弦の月(月齢7)→満月→下弦の月(月齢22)……と徐々に姿を変えながら、月齢29の三十日月(みそかづき)までを1サイクルとします。三十日月の翌日に再び月齢は0に戻り、新月の日がやってきます。

注意

月の満ち欠けのサイクルは、およそ「29.53日」であり、ぴったり29日ではありません。

そのため、月齢と月の満ち欠けの状態には若干のズレが生まれる可能性があります。

月齢の数え方

月の見え方

厳密にいうと、「月齢0(0.0)」というのは、月が「新月(しんげつ)」の状態になった瞬間です。新月とは、地球から見て「月と太陽が同じ方向に並んだとき」に発生する現象。この瞬間が「月齢0(0.0)」であり、時間の経過とともに月齢は「0.1」「0.2」「0.3」……と徐々に増えていき、1日経つごとに1ずつ増加します。

例えば、9月1日の0時に新月の状態を迎えた場合、その瞬間の月は「月齢0(0.0)」です。その12時間後にあたる9月1日の12時になると「月齢0.5」、24時間後にあたる翌日の9月2日の0時になると「月齢1(1.0)」となるわけです。

ポイント

月齢は刻一刻と変化していくものですが、一般的に「今日の月齢」などといわれる際の月齢は、その日の正午の時点での数値が用いられます。

これを「正午月齢」といいます。

月齢はなぜ作られたの?

月齢が作られた理由は、現在日本を始め多くの国々で採用されている太陽暦(新暦/グレゴリオ暦)」では、日にちから月の満ち欠けの状態を把握することが難しいためです。

太陰暦太陰太陽暦(旧暦)が使われていた時代は、日にちと月の満ち欠けが連動していました。つまり、日にちが分かればその頃の月の状態を知ることは容易だったのです。例えば、今日が1日であれば「今夜は新月だな」、15日であれば「そろそろ満月の頃か」といった具合です。これは、太陰暦や太陰太陽暦が「月の満ち欠け」を基準に作られた暦であるためです。

太陰暦(たいいんれき)・・・月の満ち欠けを基準にして作成された暦。太陰暦における毎月1日は、必ず新月(=朔)の日にあたる。 太陰太陽暦(たいいんたいようれき)・・・太陰暦をベースに作られた暦。日にちは月の満ち欠けと連動しているが、閏年(うるうどし)を設けることで太陽の動き(季節の移り変わり)にも対応可能となっている。

明智光秀が織田信長を討った「本能寺の変」は、6月2日の出来事でした。

旧暦2日の月はかろうじて見える程度の明るさで、夜はほぼ真っ暗。

光秀はこの暗闇を利用して奇襲をかけたと言われています。

顔

一方、現在主流になっている太陽暦(新暦)は、「太陽の動き」をもとにして作成された暦。そのため、日にちから月の満ち欠けの状態を簡単に知ることはできません。月齢は、この不便さを解消し、日々変わりゆく月の状態を分かりやすくするために作られたのです。

「海の仕事」には欠かせない月齢

古来より「月齢の把握」は、船乗りや漁師など、海に関わる職業の人々にとって非常に重要なことでした。月齢を知れば、海や、そこに住む魚たちの様子が分かるため、航海や漁を行う上での助けとなったのです。

海面が高くなったり低くなったりする「潮の満ち引き」は、月と太陽の引力による現象です。月と太陽の位置関係によって、潮の満ち引きの様子は変化します。

月の引力と潮の満ち引き

海では、潮が満ちる「満潮」と、潮が引く「干潮」が約6時間ごとに交互に訪れます。新月と満月の頃は、この満潮と干潮の差が最大になる「大潮(おおしお)」の時期です。

大潮の図解

一方、新月と満月の間に挟まる上弦(じょうげん)の月や下弦(かげん)の月の頃には、干満の差が最小になる「小潮(こしお)」の時期が訪れます。

小潮の図解

例えば、潮が引いている干潮時の航海は、浅瀬や暗礁などに乗り上げてしまうリスクが高まるので注意が必要です。また、魚の行動や食欲は、潮の満ち引きや月の明るさに左右されるといわれています。昔の人々はこうした海の状態を把握するために、月齢を活用していたのです。

現在でも、航海や漁の際に月齢を参考にする人は少なくありません。また、趣味で釣りやマリンスポーツを楽しむ人々にも、月齢は役立っています。

月齢と海の生き物

魚の種類や釣るポイントなどによっても異なりますが、一般的に大潮の時期や新月の日は魚が釣れやすいといわれています。

また、ウナギの産卵は新月の前後に集中するなど、月の満ち欠けの影響を受けている海の生き物は多いのです。

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