読みもの

暦(こよみ)の名前の由来読み方の語源と漢字の成り立ち

暦の語源

「暦(こよみ)」の語源

「暦」を「こよみ」と呼ぶ語源は「日(か)を読む(よむ)」だと考えられています。「読む」は「数をかぞえる」という意味を持ち、「数む(よむ)」とも書き表されます。つまり「暦」とは「日を読む」=「日をかぞえる」ことを意味した言葉なのです。

「日」という漢字には、もともと「か」という読み方(訓読み)があります。「五日(いつか)」や「十日(とおか)」といった具合に、数をかぞえるときに使われる読み方です。ここに「かぞえる」の意味を持つ「読む」が加わり日読み(かよみ)という言葉が生まれました。この「かよみ」という言葉が次第に変化して、「こよみ」と呼ばれるようになったと推測されているのです。

また、江戸時代に活躍した国学者「谷川士清(たにがわ・ことすが)」は、「こよみ」の「こ」には「詳しく(細かく)」という古い意味があり、そこに「よみ(=数をかぞえる)」を加えることで「月日を詳細に数える」という意味が込められているという説を唱えています。

ちなみに、日本で「こよみ」という読み方が誕生したのは、西暦974年頃のことだといわれています。時代でいうと、平安時代の中期にあたります。

「暦」の漢字の歴史

次に、「暦」という漢字の歴史をみていきましょう。

「暦」の原型となった漢字が生まれたのは中国です。もともとは、「厂」の下に「禾」をふたつ並べ、その下に「止」という文字を組み合わせた漢字でした(読み方は「レキ」です)。

「厂」とふたつの「禾」を組み合わせた「厤」という文字は、屋根(厂)の下に穀物の穂(禾)を整然と並べた様子を表しています。この「厤」に、「同じ間隔で移動する」人の足跡を表す「止」という漢字を加えることで、日々規則正しく運行する天体の様子を表現したのです。ここでいう「天体」には、太陽や月の他、季節の変化を教えてくれる全ての星々が含まれています。

暦の原型になった漢字

さらにその後、「厤」の下の「止」を「日」に変えた「曆」という漢字が生み出されました。この「曆」は、「全ての天体の動き」を表す「厤」に「止」の文字とは異なり「太陽(=日)の動き」だけに焦点を当てた文字でした。この「曆」を簡単に略した漢字が「暦」です。「暦」という漢字が造られた時期は、中国の戦国時代(紀元前770年から紀元前221年)の末期から前漢(紀元前202年から8年)の初期頃だと考えられています。

暦の原型になった漢字

現在日本を始め、世界各国で使われている「新暦(グレゴリオ暦)」は、太陽の動きをもとに作られた「太陽暦」。

「厤」に「日」を加えた「暦」という文字がぴったりと当てはまります。

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「新暦(グレゴリオ暦)」について、詳しくはこちら 太陰暦、太陽暦、太陰太陽暦の違い
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