母の日とは
母の日の日付
2026年の母の日は5月10日(日)です。母の日は、日頃の感謝をお母さんに伝える日です。世界各国に存在し、起源や日付は国ごとに異なります。日本の母の日はアメリカにならって毎年5月の第2日曜日と決められています。
母の日の起源
日本の母の日はアメリカから伝わった風習です。
1907年5月12日、アンナ・ジャービスさんという女性が、亡き母(アン・ジャービス)を追悼するため母が教師をしていた教会で、追悼式を行いました。この時、母を偲んで生前好きだった白いカーネーションを祭壇に飾り、参列者にも一輪ずつ手渡しました。これがアメリカの母の日の起源とされています。
アンナ・ジャービスさんの母は敬虔なキリスト教信者であり、日曜学校で教師を務めていました。生前に母が、戦争の負傷兵の衛生状況を改善するために「母の仕事の日」という社会活動をしていたことから、母の意志と感謝を忘れず、アンナさんは追悼式を開きました。この追悼式に感動した人々によって「母の日」のイベントは少しずつアメリカに広がっていきます。
1910年にウェストヴァージニア州の知事が5月の第2日曜日を母の日にすると宣言すると、次第にアメリカ全土へと広がっていき、1914年、アメリカで「母の日」が正式な記念日となりました。
日本の母の日の歴史
日本では大正時代からキリスト教関係者の働きかけによって、次第に母の日が広まっていきました。1931年(昭和6年)には当時の皇后様の誕生日3月6日を母の日として提唱しましたが、当時はあまり定着しませんでした。1937年(昭和12年)に大手菓子メーカーの森永製菓が「森永母の日大会」を開催したことで、母の日が一般に広がるきっかけとなりました。
その後1949年(昭和22年)に正式に5月の第2日曜日が母の日と制定されました。
ちなみに日本の国民の祝日、5月5日のこどもの日は「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、 母に感謝する」日とされています。
こどもの日はお母さんへの感謝も忘れずに!
なぜカーネーションなのか
母の日といえば贈り物の定番がカーネーションです。アメリカでは「亡き母に贈る場合は白色」「母親が健在であれば赤色」のカーネーションを贈る風習がありますが、母を亡くした子どもが傷つくのではないかという配慮から、日本では赤いカーネーションが主流になっています。
カーネーションは十字架にかけられたキリストを見送った聖母マリアが流した涙の跡に咲いた花といわれています。そのためキリスト教では母と子の愛を象徴する花とされていて、白いカーネーションは生前のキリストと聖母マリアの涙を表し、赤いカーネーションはキリストの復活を表しているのだとか。前項で紹介した母の日の起源となったジャービス親子はキリスト教信者だったため、カーネーションを母の日の花として選んだといわれています。
最も定番の赤いカーネーションの花言葉は「母の愛」「母への愛」などお母さんへの想いが込められています。
世界の母の日
イギリス
イギリスの母の日は「Mothering Sunday(マザーリング・サンデー)」と呼ばれ、イースター(復活祭)前の四旬節(レント)の中で4回目にあたる日曜日、と決められています。イースターの日付は毎年変わるため、イギリスの母の日は毎年日付が変わります。
四旬節(レント):イースター前日までの日曜日を除いた40日間のこと。キリストの苦難を追体験するために祈りや節制が行われます。 関連記事 イースターとは?イギリスの母の日の伝統菓子はシムネルケーキです。シムネルケーキはドライフルーツがたくさん入ったフルーツケーキの上をマジパン(アーモンドと砂糖を練り合わせた洋菓子)で覆い、ケーキの上に丸く団子状にしたマジパンを11個並べて飾り付けたケーキです。11個の玉は、キリストの12使徒から裏切り者のユダを除いた11人を意味しています。シムネルケーキは、かつてのイギリスで行儀見習いに出されていた少女たちがイースターの時期に里帰りを許されて、実家の母への手土産として焼いて持ち帰ったことが由来といわれています。
シムネルケーキはもともと母の日のお菓子ですが、イギリスの母の日はイースターの期間中に当たることから、今ではイースターに食べるお菓子という認識に変わっているようです。
また、イギリスの母の日にはお母さんへの日頃の感謝を伝える「ブレックファスト・イン・ベッド」という贈り物もあります。ブレックファスト・イン・ベッドは朝食をベッドの中で食べることをいい、朝食やお弁当の準備、送り迎えなどで毎日朝から忙しいお母さんのために「今日は寝坊してベッドでゆっくり朝を過ごしてね」と家族が美味しい朝食を振舞います。欧米では誕生日や特別な日のご褒美の定番ですが、母の日のプレゼントとして行われることが多く、母の日が近づくと、雑誌やウェブサイトで母の日のブレックファスト・イン・ベッドのレシピ特集が組まれるほどです。
オーストラリア
オーストラリアの母の日は日本と同じ5月の第2日曜日です。ただし日本の母の日とは違って、オーストラリアの母の日には菊の花を贈るのが定番です。オーストラリアでは5月は菊が咲く季節で市場に出回りやすいこと、菊の英語名「chrysanthemum(クリサンセマム)」の略称「mum(マム)」が「mum(お母さん)」と同じであることにちなんでいます。
「mom(マム)」はアメリカ英語、「mum(マム)」はイギリス英語でオーストラリアでも使用されます。どちらもお母さんを意味する言葉です。タイ
タイは王室への敬愛が強い国なため、母の日は母への感謝を伝える日だけでなく、王室への忠誠心を示す日でもあります。
タイの母の日は毎年8月12日で国民の祝日になっています。この日はラーマ9世の王妃で国民の母親的存在であるシリキット前王妃の誕生日(1932年8月12日)で、1976年から「母の日」に制定されました。この時期になるとタイの全土でシリキット前王妃の写真や絵が飾られ、夜にはイルミネーションが輝きます。多くの人はシリキット前王妃のラッキーカラー(誕生日の曜日の色)である「ライトブルー」の服を着用し、学校や政府などの公的機関では特別なセレモニーが行われます。バンコク市内では前王妃を称えるパレードやイベントも行われ、国全体が前王妃のお祝いムード一色になります。
そして、タイの母の日はジャスミンの花がシンボルになっていて、子供たちはお母さんにジャスミンの花飾りやジャスミンの花を数珠状につないだ花輪「プアンマーライ」を贈ります。タイでは一年中ジャスミンが咲いていて、ジャスミンの花はその純白の色から、途切れることのない純粋な母の愛情の象徴とされています。
また、タイの母の日の文化で象徴的なのが「ワイ」です。ワイとは、合掌しながらお辞儀をするタイの伝統的な挨拶で、合掌の手の高さとお辞儀の深さで相手への敬意の程度を表します。母の日には床にひざまずいた子供が椅子に座ったお母さんの膝や足先に触れることで、相手の一番低いところに触れる=お母さんへの深い感謝を表します。日本の感覚では違和感を覚えるシーンかもしれませんが、タイでは相手への敬意を表すために行う伝統的な作法です。
韓国
韓国では毎年5月8日に「オボイナル」と呼ばれる父母の日があります。母の日と父の日を一緒にお祝いするのが特徴で、日本と同じように、両親に感謝の気持ちを込めてカーネーションを贈る風習があります。「親を敬う」意識が強い韓国では、贈り物の予算は1万円以上と高めの調査結果もあるようです。カーネーション以外の贈り物として「現金(商品券)」を贈るのが主流なのも特徴です。