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10月15日から17日の神嘗祭とは?由来や日程を詳しく解説

御祭服姿のきじまろ君

神嘗祭(かんなめさい)とは

神嘗祭(かんなめさい/かんなめのまつり)とは、その年に初めて穫れた穀物である「新穀」を天照大神(アマテラスオオミカミ)に捧げ、実りの報告・恵みへの感謝を申し上げる神事です。

天照大神・・・日本神話に登場する太陽の女神。神々が暮らす高天原(たかまがはら)を治める神様であり、天皇家の祖神とも伝わる。

神嘗祭は、毎年10月15日から17日にかけて、三重県の伊勢神宮、そして宮中(17日のみ)にて執り行われます。

年間1500ほどの祭事が執り行われる伊勢神宮。その中でも最も古く、最も重要なものが神嘗祭です。伊勢神宮では、年神様を迎える大切な行事「お正月」になぞらえて、神嘗祭のことを「神嘗正月」や、「神々の正月は神嘗祭」などとも言い表します。

ちなみに

神嘗祭が20回行われるごとに(=20年経過するごとに)「式年遷宮(しきねんせんぐう)」が執り行われます。式年遷宮では、伊勢神宮内の社殿や祭器具などの全てが新しく作り直されます。

神嘗祭の由来

神嘗祭の由来は、「日本書紀」にみることができます。

神々が暮らす高天原(たかまがはら)に住む瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)は葦原の中つ国(あしはらのなかつくに)を治めるために、地上に降り立つことになりました。その際、祖母である天照大神は、天界で穫れた稲穂を瓊瓊杵尊に授け、「食料となるコメを地上でも育てて、国を治めるように」とお命じになられたといいます。

葦原の中つ国・・・天上にある高天原と、地下にある黄泉の国(よみのくに)の中間に存在する「地上の国」。瓊瓊杵尊はこの国を治めるために、現在の宮崎県高千穂に降り立ったと伝わる。

この神話を受けて、その年に初めて穫れた稲穂を天照大神にお供えし、召し上がっていただくという神事が、現在にも受け継がれる神嘗祭です。

瓊瓊杵尊は、天照大神の孫にあたります。

地上に降りた後、美しい女神「木花咲耶姫(コノハナノサクヤヒメ)」と結ばれ、天皇家の祖先になったと伝わる神様です。

顔

神嘗祭の日程

神嘗祭はもともと旧暦の9月に行われていましたが、現在は新暦の10月15日から17日にかけて開催されます。

旧暦について、詳しくはこちら 旧暦とは?太陰太陽暦はどんな暦だったのか

伊勢神宮は内宮(ないくう)外宮(げくう)とに大きく分かれており、内宮には天照大神が、外宮には天照大神の料理番にあたる神様「豊受大御神(とようけだいじんぐう)」が祀られています。神嘗祭の神事は、内宮と外宮の両方で行われますが、外宮から先に執り行うのが習わしです(このしきたりは「外宮先祭」と呼ばれます)。

まずは10月15日の午後10時、外宮にて「由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)」が執り行われます。由貴夕大御饌は、神様へ夕食をお供えする神事。新米の他、イセエビやアワビ、大根、柿、野鳥、塩、酒など、海や山で穫れた食材が30品目ほど並べられます。

そして翌16日の午前2時からは、「由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ)」が行われます。「朝」という漢字が入っていることからも分かるように、由貴朝大御饌は神様の朝食にあたります。

16日の正午からは、「奉幣(ほうへい)の儀」です。皇室から遣わされた勅使が青、赤、白、黒、黄の5色の反物を神様へとお供えします。18時になると、神様へと捧げる舞「御神楽(みかぐら)」が奉納されます。

なお、天照大神を祀る内宮では、これらの神事が1日遅れで行われます。また、10月18日から25日にかけては別宮や摂社などでも、神様に新穀を捧げる儀式が執り行われます。

摂社(せっしゃ)・・・主祭神に縁のある神様を祀った社(やしろ)。

ちなみに、内宮にて由貴朝大御饌や奉幣の儀が行われる10月17日には、皇居内においても伊勢神宮の方角に向かって祈りを捧げ、神様に新穀を奉る儀式が執り行われます。

注意

神嘗祭の一連の神事は夜や夜中に行われるものが多く、神職のみが立ち会います。

ほとんどの神事は参拝時間外にあたり、一般の見学は許可されていませんが、参拝時間内に行われる奉幣の儀は、参道などから見ることができます。

神嘗祭の後の「新嘗祭(にいなめさい)」とは

神嘗祭の後、11月23日(勤労感謝の日)には、新嘗祭(にいなめさい/にいなめのまつり)が宮中と各地の神社にて執り行われます。

新嘗祭は、飛鳥時代に始まった行事のひとつ。天皇陛下が神々に新穀を捧げて収穫のお礼を述べられ、翌年の五穀豊穣を祈願される神事です。神嘗祭では神職が神様にご馳走を捧げるのみでしたが、新嘗祭では天皇陛下自らが、神々と共にお食事を召し上がるという違いがあります。

新嘗祭において天皇陛下は、新穀の他、白米や黒米・赤米から作られたお酒なども召し上がられます。

顔

昔の人々は、この新嘗祭が終わるまでは新米を口にしなかったといいます。稲刈りから新嘗祭までの間は、豊かな実りを授けてくれた神々に感謝する期間だったのです。

10月17日は「貯蓄の日」でもある

神嘗祭の期間中にあたる10月17日は、「貯蓄の日」です。貯蓄の日は、1952年(昭和27年)に日本銀行によって制定されました。

神嘗祭は、農家の人々の働いた対価ともいえるお米を神様にお供えする儀式です。このことにちなみ貯蓄の日には、労働の対価である「お金」への関心を高めてほしい、また、お金を大切にしてほしいという意味が込められています。

10月17日の記念日はこちら 10月17日は何の日?(記念日、誕生日、出来事)
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