エイプリルフールとは?
毎年4月1日はエイプリルフール(エープリルフール)です。エイプリルフールの日には、「ウソ(嘘)をついてもよい」という風習があります。ただし、人を困らせたり傷つけたりするウソはNGです。エイプリルフールについてもよいウソとは、皆を楽しませられるような「悪意や害のないウソ」に限られます。
エイプリルフールが日本に入ってきたのは江戸時代の頃だと伝わっています。それまでの日本では、4月1日は「不義理の日」とされていました。不義理の日は、中国から日本に伝来した風習です。この日には、お世話になっていながらもなかなか連絡をとれていなかった相手に対して手紙を書き、日頃の不義理を謝るという風習がありました。今まで相手についていたウソがある人は、この機会にお詫びをしてもいたのだとか。
時は流れ、大正時代に入ると不義理の日は廃れていき、代わりにエイプリルフールが定着したといわれています。
フランス?インド?諸説あるエイプリルフールの起源
ヨーロッパの国々では古来より、4月1日に家族や友人にウソをついたりいたずらをしかけたりする風習があったといいます。しかし、エイプリルフールの起源は謎に包まれており、世界各地でさまざまな説が伝わっています。その中のいくつかの説をご紹介しましょう。
キリスト教起源説
エイプリルフールの起源は、キリスト教ではないかという説があります。
ヨーロッパでは古くから、4月1日には親しい人にウソをつく他、意味のないお遣いに出して無駄足を踏ませるという風習もありました。この風習は、十字架にかけられるために捕らえられたイエス・キリストが、ユダヤ教の大司祭やユダヤ総督、ガリラヤの領主のもとなど、各地をたらい回しにされて裁判にかけられたことを忘れないために生まれたと伝わっています。
また、キリストが十字架にかけられて処刑された日が4月1日だとして、「キリストを裏切ったユダの行いを記憶に刻むため」という説もあります。
現在では、イエス・キリストの命日は4月7日だと考えられている。フランス起源説
1564年までのフランスにおける新年は3月25日でした。人々は、新年から4月1日まで続くお祭りを催して、新しい年の訪れを祝ったといいます。しかしシャルル9世によって、新年は1月1日に改められました。「ルシヨンの勅令」と呼ばれるこの暦の改変に反対した国民は、4月1日を「偽りの新年」と呼んで今まで通りお祭りを開き、大騒ぎをしたのです。彼らが行ったこのお祭りを、エイプリルフールの起源とする説があります。
インド起源説
インドの「揶揄節(やゆせつ)」も、エイプリルフール起源説のひとつです。
インドの僧侶たちは、3月の春分の日から3月31日にかけて、悟りを開くための過酷な修行に取り組みます。ところが、修行の期間が明ける4月1日に俗世間に戻ってくると、たちまち煩悩に支配されてしまったというのです。人々は、「それでは厳しい修行した意味がないじゃないか」と僧侶たちを笑い、からかったといいます。この4月1日は「揶揄節(やゆせつ)」と呼ばれ、エイプリルフールの起源となったという説があります。
ちなみにインドでは、「ホーリー」という伝統的なお祭りが毎年3月に催されます。春の訪れを祝うホーリー。現在では、色の付いた粉やペンキをかけあうド派手なお祭りとして知られるこのイベントが、エイプリルフールの起源となったという説もあります。
古くからエイプリルフールの原型のような風習があったヨーロッパ。
しかし、エイプリルフールが本格的に広まったのは、18世紀に入ってからだといわれています。
エイプリルフールの風習は国によってさまざま
世界各地で親しまれているエイプリルフール。しかし各国で共通しているルールは、「罪のないウソをついてよい」ということくらいです。その他の風習は、国によって様々な違いがみられます。
多くの国では4月1日に行われるエイプリルフールですが、スペインやメキシコでは12月28日の行事とされています。
イギリス~公共放送も参加の一大イベント~
エイプリルフールの日にメディアがさまざまなウソを発信するのは、近年の日本でも定着してきました。一方イギリスの人々は、1950年代頃からBBCなどの公共放送までもが参加して、エイプリルフールを思いきり楽しんでいます。
例えばBBCでは、
- スイスでスパゲティの木を栽培している農家がある
- ニワトリが四角い形の卵を産んだ
- ビッグ・ベンの大時計がデジタル化される
などといったウソを報道し、真に受けた国民からの問い合わせが殺到したこともあるのだとか。
イギリスでは、エイプリルフールの日にウソをついてよいのは「午前中だけ」と決まっています。
午後になったら種明かしをしないといけません。
フランス~魚の絵を背中にペタリ~
日本では、エイプリルフールそのものや、エイプリルフールの日にウソに騙された人のことを指して「四月馬鹿(しがつばか)」と呼んだりしますが、フランスでは「Poisson d’avril(ポワソン・ダヴリル)」といいます。ポワソン・ダヴリルを日本語に直訳すると「四月(=ダヴリル)の魚(=ポワソン)」。フランスでは「イタズラの日」というような意味で使われています。
ポワソン・ダヴリル(エイプリルフール)の日、フランスの子どもたちは他の人の背中に魚を象った紙をこっそりと貼り付けます。フランスの4月はサバ(鯖)がよく獲れる時期。このポワソン・ダヴリルの「魚」とは、サバを意味していると考えられています。
スコットランド~騙された人は「カッコウ」?~
スコットランドでは、「四月馬鹿」のことを鳥の「カッコウ」、もしくはカッコウの別名の「ガウク(gowk)」と呼びます。この呼び方は、スコットランドのエイプリルフールにおける伝統的なイタズラ「カッコウ狩り」に由来するといわれています。
カッコウ狩りではまず、エイプリルフールの日に手紙を届けてもらうように人(いたずらのターゲット)を遣いに出します。しかしこの手紙には、「このマヌケな人をもう1マイル走らせて!」と書かれているのです。ターゲットから手紙を受け取った人は、新たに同じ文面の手紙を書き、「今度はこの住所に届けて」と手紙を託します。これが繰り返されることで何マイルも走らされる哀れなターゲットが、エイプリルフールの「カッコウ」というわけです。
4月のスコットランドでは、カッコウの姿をよく見かけることから、エイプリルフールに騙される人のことを「カッコウ」と呼ぶようになったといわれています。またカッコウは、声だけは聞こえるのに姿をなかなか現さない鳥としても知られています。声を頼りにカッコウを探しても見つからなくて徒労に終わることを、エイプリルフールに走らされてヘトヘトになった人に重ねたという説もあります。